欧州議会は2020年2月12日、本会議で欧州連合とベトナムの自由貿易協定(EVFTA)を承認しました。
欧州連合(EU)とベトナムは2019年6月30日に EVFTA に署名しました。協議を開始した2010年10月から約10年間を経て最終手続きにたどり着きました。欧州理事会が承認し、ベトナム国会も批准すれば正式に発効します。
EVFTAの発効後、EUは7年かけて最終的にベトナムの輸出品に対して99%の関税を撤廃することもあり、ベトナムの企業にとって非常に有利です。特に、繊維製品の場合は、EVFTA発効後7年で輸出税を0%にされます。具体的な計画として、42.5%の関税が即時、34.8%が発行後5年、最後の22.7%が発行後7年撤廃されます。
さらに、CPTPPと比較すれば、EVFTAにおける繊維製品の原産地表示に関する規定が緩やかと考えられています。例えば、CPTPPのヤーンフォワード規則によれば、紡ぐ・織る・縫製の工程すべてがベトナム国内で行わなければならないですが、EVFTAはファブリックフォワードの原則を採っており、それに、韓国、日本、ASEANの諸国等、EUとの自由貿易協定が締結された国と原産地を統一させることも可能にしています。
欧州議会がEVFTAを承認した動きは、ベトナム産の繊維製品を28カ国の5億人の消費者から成る市場に届けるように最後の一歩が踏み出されたと言えます。ベトナムの繊維業界企業にとっては有利ですが、それだけではなく、EVFTAが「ベトナム産」の繊維製品に与えたメリットを活かせたいというFDI企業にとっても、ベトナムが進出先としてさらに魅力的になっていきます。
繊維産業がEVFTAから最も有利な産業と予測されています。写真(イメージ)VOV
ベトナム投資計画省(MPI)は、EVFTA がベトナム経済に良い影響を与えると予測しています。具体的に、EVFTAがない場合と比較すれば、ベトナムの対EU輸出総額が2020年に20%、2025年に42.7%、2030年に44.37%増加するようです。その中、著しく迅速に発展すると言われている産業として、繊維業(67%)、縫製業(81%)、革靴製造業(99%)、水上輸送業(100%)航空輸送業(141%)が挙げられています。
他方、EUからの輸入総額も、EVFTAがない場合より、2020年に15.28%、2025年に33.06%、2030年に36.7%増加するとMPIが予測しています。
米中貿易摩擦や最近のコロナヴィルスの影響を受けて、世界経済は不安定な状態にありますが、欧州議会がEVFTA及びEVIPAを承認したことは、「ベトナム産」の繊維製品をはじめとしたベトナムの製品の競争力にメリットを与えることにより、輸出総額を増加させ、市場とサプライチェーンの多様化を促進する、という重要な動きです。
それで、ASEANかつアジア太平洋地域の中心位置、長い海岸線や低労働コストといった従来の投資先としての魅力に加え、ベトナムは、アジア太平洋地域においてはEUと自由貿易関係を樹立した初の発展途上国として、経済かつ政治上の新たな魅力があります。
いわゆる「ベトナム繊維産業の起源」と呼ばれているナムディン省においても、EVFTAが国内外投資家の誘致を促進し、政府の計画方針通りにナムディンがベトナム北部地域の繊維産業の中心となることに貢献すると期待されています。この数年、工業不動産市場が盛んな地域において、電気製品製造業や自動車製造業より繊維産業の注目度が低めだったですが、ナムディン省は、繊維産業のサプライチェーンを整備する方針で、バオ・ミン工業団地やランドン繊維工業団地(Aurora IP)の工業団地の開発に取り組んできています。その方針の成果は、ナムディン省が国内外の繊維産業の投資家にとって魅力的な投資先になったことです。
繊維産業の投資誘致に関して、プロジェクト立上げの段階から早めに方針が決定され、設計も繊維産業とその中の織布業に対応したものであるため、Aurora IPは、ナムディン省だけではなく北部地域全体のその他の工業団地と比較すれば、著しいメリットがあります。特に、Aurora IPは、染色も行う織布施設に関する法律上とインフラ上両方の要件を満たしている数少ない工業団地の一つです。浄水排水の使用量が大きい織布染色を行う企業の最も厳密な要求にも対応できるよう、地上式配水池を利用する、給水能力が17万m3/一日である給水システムに加え、一日当たりの処理能力が11万m3の排水処理施設も建設中です。それに、工業団地内の道路も整備しています。インフラ整備に取組んできている結果、Aurora IPは、日本及び香港において長い歴史を持つ企業に、面積40ヘクタールの工場の建設地として選択されました。優れた織布染色技術を持つ投資家もAurora IPを選んでいます。EVFTA発効後さらに発展すると予測されている繊維産業への投資傾向について、Aurora IPは準備を取り組んでいます。業界の大手企業に評価されているのもその成果ではないでしょうか。
Aurora IP